不動産売却を検討している方の中には「大手なら大丈夫だろう」と考えている方もいらっしゃると思います。不動産売却では不動産会社と契約して売却を進めるのが一般的ですが、不動産会社といってもさまざまな会社があります。
大手・中小それぞれにメリット・デメリットがありますが、一概に大手が良いというわけではありません。この記事では、大手・中小それぞれの不動産会社のメリット・デメリットを分かりやすく解説します。
大手企業のメリット
大手企業は、資金力や規模を生かした情報量の豊富さ、売却力の強さ、安定した販売体制が特徴になります。
①情報量の豊富さ
大手は営業店舗を全国展開していたり、広範囲に情報網を築いているため、豊富な情報量を持っています。そのため全国規模で購入希望者にアピールすることが可能です。情報量の差は、物件を高く・早く売ることに繋がるため、売却へ大きな力になるでしょう。
②売却力の強さ
大手は知名度やブランド力の高さ、プロモーション活動に強みがあります。買手の集客力が高く、強力な販売推進が期待できます。立地の良い営業店舗に顧客が集まりやすく、顧客も安心して店舗に足を運び、電話相談を受けてくれます。
③安定した販売体制・組織力
大手は、社内教育も整っているため、安定した売却活動が期待できます。不動産の売却では物件自体に魅力があることも大切ですが、仲介会社の売却力も大事です。優れた社員がいる企業ほど、依頼者の希望に合った売却が可能になります。
大手企業のデメリット
大手の不動産業者は売り物件を自社の顧客に売ることで利益を多くしたいため、自社の顧客に売れず、すぐに売却が決まらないことがある場合が考えられます。そして競争原理も働きにくい構造となっているので、物件を顧客の期待する売値(彼らの仕入れ値)は安くなりがちで(その方が儲かりますから)物件販売額(彼らが提示する売値)は高くなる傾向が見受けられます。
①地域や特化したジャンルに根付いた情報が少ない
大手の場合、例えば地域や特定のジャンルの売却に役立つ情報を蓄積できていない場合があります。地元の顧客と顔なじみになっても担当スタッフには店舗間の異動があったり、小回りの効く細かい情報を大手に頼るのは難しいでしょう。
②顧客目線に欠けることがある
大手企業では利益やノルマの達成が重視されることもあるため、場合によっては顧客目線に欠けた対応をされるケースもあります。例えば仲介手数料を確保するために、物件を早く売却しようと安易な値下げを要請してくる不動産業者も中にはいます。売却活動を長引かせないために値下げが必要なときもありますが、思った以上の値下げを要求されることも少なくありません。
③仲介料が値引きしにくい
仲介手数料に関しては、大手の方が値引に応じてくれない傾向があります。大手では会社を維持するための大勢のスタッフや人件費がかかっています。営業担当者も厳しいノルマがあります。そのため仲介手数料に関しては、値引きしてくれないことも多いのです。中小の場合小回りや融通がききますが、大手の場合はその場で値引きなどは珍しいのです。
不動産売買をするなら知っておきたい「両手仲介」と「囲い込み」
不動産業界で古くから行われている商慣習に、「両手仲介」と「囲い込み」と言われる手法があります。これは不動産業者・中心の利益を得るための行為であり、売主や買主にはけっして良い影響はもたらしません。しかし大手不動産業者が高い利益率・業績を出しているのは、この「両手仲介」であることは不動産業界では知られている事実です※(不動産業界 売上高ランキング2020年)。では「両手仲介」と不動産物件の「囲い込み」はどのような影響があるか知っておくことが大切になってくるのでご説明したいと思います。
①両手仲介とは
1つの物件の不動産売買取引を、1社の不動産会社が、売主と買主の双方の仲介を行い、その両方から仲介手数料を受領することです。不動産業界では「両手仲介」と呼ばれています。このビジネス形態は、不動産業者にもっとも多くの収入が得られます。
②囲い込みとは
不動産会社がより収益の多い「両手仲介」の状況(構造)を目指すために、「売主から売却の依頼を受けた不動産物件」を、他の不動産会社に取り扱わせないようにする「囲い込み」行為があります。不動産業界では、この状況のことを「自社から外部に情報が流れない」ようにするので「囲い込み」(不動産・物件の囲い込み)と呼びます。
このように、売主の希望の金額での成約機会が妨げられるケースも数多く発生しているのが現実に起きていることです。大手不動産業者が高い業績を誇るのは「顧客視点より自社優先のビジネスモデル」と言える「両手仲介」と「囲い込み」を行っているからと言っても過言ではありません。
知っておきたい媒介契約
ここでは媒介契約の詳細は別項に譲るが、前述の「囲い込み」を行う大手の場合、物件売却を依頼する際に専任媒介契約または専属専任媒介契約を提案するケースが多く見受けられます。このような自社目線の契約を結ぶことで他社を排除でき「両手仲介」がより確実なものとなるからです。
売却を急ぐ場合や、より高値での売却を希望される場合は、専属専任媒介契約を結ばずに一般媒介契約で複数社に依頼することを検討してみてはいかがでしょう。
大手と中小どちらの不動産会社を選べばいいか?
不動産の売却で不動産会社に売買仲介を依頼するのが一般的です。売買仲介契約には「専属専任媒介契約」「専任媒介」「一般媒介」の3種類があるため、物件の特徴や売却期間に応じて契約する形態を決めるといいでしょう。
大手・不動産会社 | 中小・不動産会社 | |
広告宣伝力 | ◎ | △ |
顧客数 | ◎ | △ |
社員教育 | ◎ | 〇 |
コミュニケーション量 | △ | ◎ |
地域特性 | △ | ◎ |
認知度 | ◎ | △ |
仲介してもらう不動産業者も様々なタイプがあります。大手と中小のどちらを選ぶかはそれぞれにメリット・デメリットがあるので、売却方針や物件の特徴、立地などに合わせて選択しましょう。
査定依頼のよくあるQ&A
Q:売却時期が決まっていなくても査定依頼が可能か
Q:住宅ローンの残債があっても査定依頼が可能か
Q:不動産の査定依頼に費用は発生しないのか
Q:依頼した査定依頼のキャンセルは可能か
Q:家族に知られずに査定が可能か
Q:査定結果をすぐに知ることはできるか
Q:査定依頼を申し込んだことが第三者に知られないか
※不動産仲介会社により査定依頼時のガイドラインは異なります。詳細な情報については査定を依頼する不動産仲介会社へご確認ください。
不動産売却の成否は不動産仲介会社選びがカギとなります。
それぞれの特徴を押さえ、あなたの条件にあった不動産仲介会社を選びましょう。不動産売却はパートナーとなる不動産仲介会社選びが非常に大切です。メリット・デメリットをよく比較して、自分に最適な不動産仲介会社を見極めましょう。